大人と子供の睡眠時無呼吸症候群の原因と症状について学びましょう。
睡眠時無呼吸症候群は、高齢かつ肥満男性がなりやすいと思われています。しかし、睡眠時無呼吸症候群は、性別、年齢、体型に関係無く、多くの人がなり得る可能性があるのです。以下に述べる特徴のいずれかに該当する場合、リスクが高くなります。(1)
男性、肥満気味、中年の他に、閉経後の女性も可能性が高いと言えます。また、気道が狭い、小顎、扁桃肥大、舌が大きい、顔の形状が特殊、鼻閉、または首が太い(周囲径43cm又はそれ以上)などがあげられます。
睡眠時無呼吸症候群のもっともよく見られる症状は、いびきです。特に、いびきの音が大きく、呼吸停止、喘ぎなどを伴います。また、夜間何度もトイレに行ったり、起床時の頭痛があります。無呼吸は、眠りを妨げ、日中の疲労感、記憶力の低下、集中困難、イラつき、感情の変化や鬱などを引き起こします。
これらの症状がある場合、医師に相談しましょう。
放置すると、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心筋梗塞、不整脈、脳卒中などの心血管障害を引き起こす可能性があります。(2)
また、胸やけ、性欲の低下や、まれに、肺高血圧症も引き起こします。日中の過度な眠気は、居眠り運転による自動車事故や業務上の事故に繋がりかねません。
小児における睡眠時無呼吸症候群も多く見られます。睡眠時無呼吸症候群の子供は、よくいびきをかく、呼吸が苦しそう、汗をかく、寝相がよくないなどの特徴があります。夜間、十分な睡眠が取れないと、多動性、成長の遅れ、学習困難、成績の低下などといった原因にもなります。(3)
このような症状に気づいた場合、医療機関の受診をおすすめします。
年齢、性別、体型にかかわらず、複数の要因により疾病のリスクが高まります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の有病率は、世界の成人人口の1~6%(4)と言われる一方で、80%の人が未治療のままの状態とされています。(5)
下記にて該当する疾病の因子がないか確認しましょう。(6)
高齢 | 睡眠時無呼吸症候群は、50歳以上により有意に発症します。近年の研究では70歳を過ぎても患者数が依然として増加することが示されています。 |
性別 | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、女性より男性に多く見られます。上気道の構造の違いに関係しています。 |
肥満 | BMI(肥満度指数)が25以上の成人は肥満と見なされます。 睡眠時無呼吸症候群のリスクは、体重と共に増加します。 |
家族歴 | 一親等の間でより多く見られます。これは、遺伝や類似したライフスタイルに関係していると思われます。 |
狭い気道 | 鼻づまり、解剖学的異常、気道にアレルギーを持っている場合、OSAを発症する可能性が高くなります。 |
閉経 | OSAは閉経後の女性により多くみられます。 |
妊娠 | OSAは妊娠中、特に妊娠中期に増加します。 |
飲酒 | 飲酒は、無呼吸につながる上気道の落ち込みを高めます。 |
喫煙 | 喫煙は、いびきやOSAを発症するリスクの増加に関連しています。 |
睡眠 | 睡眠不足と仰向けで寝る姿勢も一因となります。 |
筋弛緩薬 | 鎮静催眠薬などの薬は、OSAを悪化させることがあります。 |
出典:
(1) Obstructive Sleep Apnoea (OSA), British Lung Foundation, 2014
(2) Cowan D.C. et al., Predicting sleep disordered breathing in outpatients with suspected OSA, BMJ Open 2014; 4(4): e004519
(3) Sleep apnea: is your patient at risk, NIH publication, No 95-3803, Settembre 1995
(4) The World Health Organization. Chronic respiratory diseases www.who.int/gard/publications/chronic_respiratory_diseases.pdf viewed 05/21/2015
(5) Obstructive Sleep Apnea – A guide for GP’s – British Lung Foundation (NHS)(6) Sleep breathing disorders – European Respiratory Society WhiteBook (chapter 23)
監修医:
大阪回生病院
睡眠医療センター長 大井 元晴(おおい もとはる) 医師
部長 谷口 充孝(たにぐち みつたか)医師